点火プラグについて、日ごろ考え感じている事を書きますが、あくまで私個人の意見です。
詳しくは山海堂「スパークプラグの知識と特性」等の書籍を参照してください。
図もなく文章のみで面白くないと思いますが、興味のある方はお読みください。では、始めます。
点火プラグだけに着目すると
少しでもパワーを上げようと純正以外(イリジュウムや他社,外国製品)のプラグに変更するのをよく見かけます。
ここで、純正点火プラグについて考えてみましょう。
バイクにより、よく使う回転域を考え、低回転寄りや高回転寄りにプラグの番号を設定してありますが、概ね低回転からレッドゾーンまで問題なく使用できるよう、メーカーではプラグの番手を決めています。
プラグの焼け具合で、中心電極の磁器が白く焼けていれば焼けすぎでガスが薄く、逆に黒く付着物で覆われていれば、ガスが濃くカブっているなどと言いますね。
では、白く焼けすぎていると何がいけないのでしょうか? プラグだけについて考えてみましょう。
プラグの番手(熱価)が合わない状態で白く焼けている場合、プラグの中心電極の温度が高く、プラグの電極が溶解したり、高温部分が着火点となって、点火時期以前に吸入ガスが燃焼をはじめ(プレイグニッション)、パワーが低下したりします。
では、プラグ熱価が高ければ良いように思われるが、この場合はどうなるのでしょうか?
中心電極が白い時の様にプラグ電極の溶損等の事象は発生しませんが、温度が上がらないため磁器表面に汚損物(燃焼ガスのカス)が付着し、絶縁低下からリークが発生して点火不良に至ります。
あるいは付着したカスがホットスポットになり、点火異常になる可能性があります。
ガスの濃さが適切である場合でプラグの番手が合っていないと、今まで説明したような事象に進展します。
ですが、プラグだけ(点火の事だけ)考えると、白くても溶損が起きるほど高温にならなければ問題ないし、黒くても多少であれば問題はなく、エンジン不調に至る事はめったに起こることではありません。
ガスの濃さも合わせて考えてみましょう
では、プラグだけでなく、ガスの濃い薄いが伴う場合について考えてみましょう。
キャブセッティングの良否に、プラグの焼け具合をよく見ます。点火の事だけ考えると多少の白い,黒いは問題ありませんが、黒くくすんでいると濃すぎてパワーが出ていませんし、白く焼けすぎていると、パワーは出ているかもしれませんが、燃焼温度が高く内部が溶損するかもしれません。壊れずにパワーを、と思い一生懸命プラグを外して見ます。
純正以外のプラグを使用した場合、熱価番号があっていても「どうも調子が悪い」って事ありますよね?
純正に採用されているプラグは、発売前のメーカーテストで良く確認されている点もありますが、通常採用している純正プラグは、熱価の幅が広い(・8番でも7~9番に相当する・ヒートレンジが広い)ため、低回転から高回転まで問題なく回るのに対し、どこのとは言いませんが外国製プラグで純正と同じ8番相当を使用したのに、高回転は良いが低回転はいまいち、なんて事も起こります。原因は替えたプラグのヒートレンジが狭いことが原因の場合も。
イリジュウムやVプラグ(プラチナ電極)は比較的レンジが狭く、ガスの濃さと相まって低回転が不調になり、うまく走れなくなるなど、良く陥る事象と聞きます。
レース用のプラグ番手を真似て、格好だけを気にして高い熱価のプラグを採用した時と同様です。
プラチナ電極のVプラグは、2ストのように回転域が狭いバイクでは、汚損に対しても強いのでマッチングが良いと聞きましたが、4ストに使用するには火焔は強力でも火焔の大きさが小さいくアークの継続時間が短い事(だから4スト点火系にCDIが用いられていない)から、あまり合わないと聞きました。
(一般にCDI点火とトランジスタ点火は違いますよ)
一部レースチューナーの間では、純正のごく平凡な点火プラグを使用し、レギュラーガソリンを入れて調子(パワー)を見た後に、プラグやガソリンを変更するそうです。
つまり、セッティングが出ていない段階(ガスが濃い,薄いを判断している最中)で、プラグをヒートレンジが狭いプラグに交換してしまうと、よく分からなくなってしまうと言う事です。
「ヒートレンジの広いごく普通のプラグを使用した方が良い」と言うバイク関係者が多くいらっしゃいます。
はっきり言って、プラグの焼け具合を見ても、燃焼の全体像(低回転~高回転まで)は良く分かりません。プラグの焼け具合は、あくまでプラグを外す直前の焼け具合です。
私がレーシングカートをやっていた時、ショップの人から聞いた話ですが、低回転域の焼け具合は周辺電極の色で判断し、高回転域は中心電極の焼け具合で判断するとの話を聞いたことがあります。
多分正解だと思いますが、高回転時の焼け具合を知りたければ、高回転で回した直後にエンジンをカットし、ピットに戻ってその状態のままプラグを外して見なければ分からないと思います。
(昔はサーキットでこんなことやっていたと聞きましたが、今はやっていないのかな??)
結論
一般路を多少早く走るくらいならば、点火プラグは安価な純正のままが一番ってことでしょうか。
国産純正品は、安価なのに性能が良い場合が多く、お金をかけて不調になる必要はないと思うのですが・・・
分かりにくい文章ですみません。
※補足
点火プラグはかなり高温になっても、短時間に溶損に至る事は少ないのですが、火花(アーク)が飛ぶためには高温状況下と電子の移動が伴いますので、少なからず電極は消耗します。アークにより高温度と電子の移動で金属も蒸発するためです。
少し状況は違いますが、工具を使っているときに短絡を起こすと、工具は直ぐに溶けてしまいますよね。
点火プラグは頻繁にアークに晒されているのに、よくもつものだと感心します。
最近の車,バイクは排ガスや燃費の点で混合ガスの濃さは希薄になる傾向です。プラグは白く焼ける方向です。
かなり古いバイクは薄い混合ガスではエンジンパーツに障害が出る可能性がありますが、80’年代以降では多少のガス薄目は問題にならないと思います。ただ、ノッキング(デトネーション)を頻発する程希薄であれば、内部パーツが心配ですね。
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